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特定非営利活動法人全日本健康自然食品協会

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会報連載記事

食育について(8) 香川県綾南町立滝宮小学校の実践事例

6年担任 作花志保

食べることを考えることは、生きることを考えること

食べることを苦痛に感じている子、濃い味に味覚が麻痺している子が、年々増加している
考えられないことかも知れないが、「給食が食べられない。」ということを心配して、小学校に入学する子どもは多い。低学年を担任した時に、「この子は給食で配慮が必要です。」と幼稚園の先生からお聞きした子どもたちの数は、約半数にものぼった。実際に子どもは、魚介類が食べられないとか、パンを食べる時にのどを通らないとか、量が多いとかといった理由で給食を苦にしていた。私が教職についてから約18年経つが、子どもたちを見ていて感じた大きな変化の一つは、食するということに対する意欲の低下や食すること自体を苦に思っている子どもの増加である。

また、食べるものが手軽に手に入る時代なだけに、何を食べるかが重要になる。手軽に食べることのできる食品の多くが、濃い味で、カロリーが高く、いろいろな食品添加物が入っている。この味に慣れてしまうと、野菜本来の甘い味といったものが分からないで、子どもは「まずい。」と言う。味覚が学習されずに、より刺激の強い味に感覚が麻痺しているのだ。こういった食品ばかりを食べる子に、すぐにかっとしたり、暴れたりする子が多いと感じている中学校の先生もいた。食生活を改善してやりたくても、家庭の状況で難しいのだそうだ。

“弁当の日”を実施するというそのことだけで、これほどまでに子どもが成長する
本校は、“親がけっして手伝わず子どもだけで作る弁当の日”を実施することができるぐらい家庭の教育力がしっかりとした学校だが、それでも上記のような現代社会の問題が子どもに反映されている。

10月から月に1度、自分で弁当を作るという、ただそれだけのことがもたらした産物は多い。まず第1に子どもが食べ物や料理というものに自ら興味を持ち、買い物をしたり、料理をしたりし始めたという事。1から10まで自分でするのだから、それまでにある程度できていなくては、弁当は作れない。家庭科で調理を学習した後、今までは家庭で1回の宿題程度だった実習を、今では自発的に自分からするようになった。休日には子どもが朝ごはんや昼ごはんを家族に作ることもしている。第2に、子どもが自ら料理をし始めた中で、自然に親に尋ねる、教わるということが生まれたということだ。“食”ということを介して、親子がかかわり合い、ふれあいが深まった。また自分が料理を作ってあげた親から「おいしいよ。作ってくれて本当に助かるよ。」という言葉をもらえた子は、自己有用感が自然に高まるのだ。第3に、食への認識が深まったということ。何でも食べればいいのではない。本校の栄養士は積極的に学級活動や家庭科の授業にもかかわり、低学年の子どもたちでも赤・青・黄の食べ物をバランスよく食べることの大切さを知っている。5年生になったら、自分で献立を考えて弁当を作らなくてはならないという思いを持っているからだ。

どのように食べるかということを考えるのは、よりよく生きるということを考えること
弁当の日が実施されて今年で4年目だが、私たち教師も子どもが作る弁当づくりを通して、子ども一人ひとりのことを丸抱えで見つめることができるようになってきたように思う。毎日元気に過ごせているか。元気がないのはどうしてか。心の状態はよいか。落ち着いていないのはなぜか。意欲的に学習に取り組めているか。集中できていないのはなぜか等。そんな時、その子の置かれている食を中心とした環境を考えると解決の糸口がつかめることが多い。

自己有用感と自尊感情を持ち始めた子どもたちが、より自分を大切にしようと、何を、どのようにして、どれくらい食べるのかということを自分で考え始めた。その様子を見て、どのように食べるかということを考えることは、よりよく生きるということを考えることにつながるのだと思った。私たち教師も子どもと親と共に、“弁当の日”を通じて、食べること、よりよく生きることを考えていきたい。

次号へつづく