
拓殖大学国際開発学部教授 長坂寿久
フェアトレードは、先進国においてはいうまでもなく消費者運動である。市民が企業などのマーケティングに従順に従って購買する単なる消費する人(消費者)から、自らの問題意識で選択する人(選択者)に変わることによってフェアトレード運動は成り立っている。
その自らの購買動機の重点を「環境」に置いた消費者運動が「グリーンコンシューマー」(緑の消費者)であり、80年代以降国際的に広がってきた。これに対して、現代ではCSR(企業の社会的責任)という新しい経営システム論の導入によって、「環境」だけではなく「社会」的側面も経営の中に組み入れるようになるにともない、消費者運動も当然この両面を組み入れた考え方をもつようになった。そこで、近年ではヨーロッパでも「グリーンコンシューマー」より「サステイナブルコンシューマー」(持続可能性に関心をもつ消費者)という言葉が使われるようになっている。
消費者運動であるということは、開発途上国の農民の人々の自立や環境持続を支援しようとすることに目覚めた消費者は、当然ながら他の側面を含む総合的な選択者意識の目覚めと行動へ向かうことになる。それでは現代の消費者運動としては、フェアトレード以外にどのような点が指摘されているのだろうか。英国の『ニューコンシューマー』誌(2006年1・2月号)は『新消費者革命への道』として、以下の15項目をリストしている。いくつかについて筆者の解説を加えておこう。
グリーン電力へ切り換えよう
――電気を使う(買う)ときに、二酸化炭素やその他の有害物質や廃棄物などを排出せず、環境負荷の小さい電源、すなわち風力や太陽光、バイオマス、地熱などで発電した「グリーン電気」を選ぶことができたらすばらしいだろう。
欧米ではすでにそれが可能となっている地域もある。グリーン電力は、エネルギーの価値と環境価値を併せ持つ電力で、その環境価値の部分を「証書化」して、市場で取引するプログラムもある。また、市民がお金を共同出資して、風力やバイオマスなどの自然エネルギー施設を建設・運営する協同組合形式の市民投資という仕組みもでき上がりつつある。
フェアトレード商品を買おう
――58の途上国で500万人以上の人々がフェアトレードの恩恵を受けている。すでに英国では1100品目ものフェアトレード商品が販売されている。そして英国には130ものフェアトレードタウンを宣言した町がある。英国では大人の50%以上がフェアトレード商標を知っている。
プラスチックの買い物袋を断ろう。長持ちする自分用の麻袋をもとう
――グリーンコンシューマー運動の最も基本的な取り組みである。日本ではすでに自治体でもスーパーなどでプラスチック袋(レジ袋)は有料で提供するように法的措置をとっているところもあり、次第に普及してきている。
カーボン(炭素)ニュートラルにしょう。炭素のフットプリントを数え、相殺しバランスするよう対処しよう。
――地球温暖化防止を考えるとき、最も基本となる考えで、「カーボン」(炭素)の差し引き量が増減無しのゼロ(ニュートラル状態)、つまり二酸化炭素(温室効果ガス)の増減に影響を与えないような(カーボンニュートラル)消費をしようという考え方。人間がどれほど自然環境に依存しているかを、わかりやすく伝える指標・ツールとして
「エコロジカル・フットプリント」があるが、これと同様の考え方である。フットプリントが増えた分をフットプリントを減る活動で補?してフットプリント・ニュートラルにする。例えば、家を建てるときには、なるべくエコロジカル・フットプリントが小さくなるように建てるのはもちろんだが、それでも増えた分を、別の活動(省エネ、植林など)でできるだけ差し引きゼロの状態にするという消費者意識の考え方である。
少し高くても長持ちする、地球に負荷をかけないもの(衣類など)を買おう。
サプライヤーから直接買おう。できるだけ地域で生産したものを買おう。
いつでも有機食品を食べ、有機素材を買うようにしよう。地域の青物市場を支援しよう。小規模な有機生産者は地域の農業市場を大切にしている。
――日本の「産直」の考え方は生産者の視点から誕生したが、「産直」のコンセプトには「地域」のものを地域で消費するという新消費者革命型の考え方が含まれている。そして有機であることは「選択者」としては最も優先すべき対応となる。
以下、次のような点が指摘されている。
公共交通機関を使おう。バス、地下鉄、自動車フール、あるいは自転車を買おう。
暖房の温度を1度下げよう。
――環境問題に関心があり、すぐ取り組む自治体議員をみつけよう。
――ミクロを理解するために、グローバル経済の本を読もう。著者も重要だ。
――コンポストしよう(堆肥をつくろう)。
――ニューコンシューマー』誌を講読しよう。もう講読しているなら友達に勧めよう。
――購買慣習を革命的にするのは容易だといえる友達をもとう。
――物質的なものに惑わされず、倫理的なキャリアを選択できるようにしよう。