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会報連載記事

フェアトレード(10) フェアトレードの推進に向けた試み

フェアトレードカンパニー株式会社/グローバル・ヴィレッジ広報ディレクター 胤森なお子

◆新たなフェアトレードの展開

〜フェアトレード・ファッション〜
フェアトレードカンパニー株式会社(FTCo)は、環境保護と途上国支援のNGOであるグローバル・ヴィレッジのフェアトレード事業部門として、1995年に設立された会社組織です。現在FTCoにはアジア、アフリカ、南米の20ヶ国に70団体の生産者パートナーがおり、手織りやオーガニック・コットンの衣料品を始め、自然素材の雑貨や手作りのアクセサリー、コーヒーやチョコレートまで幅広くフェアトレード商品を日本に紹介しています。「ピープル・ツリー」という統一名称で東京・自由が丘の直営店と通販カタログを展開すると共に、フェアトレード・ショップや雑貨店、自然食品の宅配サービス会社などへの卸を通じて商品を販売しています。

ピープル・ツリー商品を取り扱う小売店は現在全国で550店舗、通販カタログの発行部数は6万部になっています。FTCoの売上規模は2003年度で約6億2千万円で、95年の設立以来毎年10%以上の伸びを示してきました。環境や貧困の問題への関心の高まりに後押しされたと同時に、FTCoがフェアトレード商品を消費者にとって魅力的なものにするよう努力してきた成果でもあると考えています。

欧米では、フェアトレード商品といえばコーヒーなどの食品がほとんどで、衣料品はごくわずかです。一方、FTCoでは売上の約40%を衣料品が占めています。FTCoがフェアトレード・ファッションに力を入れてきたのは、コーヒーなどの農産物に比べて衣料品は加工の段階が多く、それだけ現地で雇用の機会を多く提供して貧困の軽減につなげられること、また一定の買い替え需要があって購入者の層も広い衣料品を販売することで、フェアトレード商品購入者の裾野を広げられるからです。しかし、フェアトレードでファッション性の高い衣料品を作ることは、容易ではありません。インドやバングラデシュの農村やスラムといった、素材や技術、設備に制約があるところで、日本人が求める高いデザイン性と品質水準を備えた商品を作り出すことができるのか、商品開発や品質管理は試行錯誤の連続です。

ピープル・ツリーの衣料品の開発に当たっては、人と環境にやさしいことをポリシーとし、農薬や化学肥料を使わないオーガニック・コットンを素材にしたり、染色にも植物染料や発癌性物質を含まないアゾ・フリー染料を使用しています。また、現地の文化を尊重して伝統的な手織りや刺?の技術もできる限り取り入れています。オーガニック・コットンのプロジェクトでは、FTCoがコットン農家組合と直接やりとりして、オーガニック認証の費用を負担するなどの支援も行っています。

また、日本人の体型や好みに合う製品をつくるために、FTCoのスタッフからデザインやサイズを細かく伝えたり、高い品質の必要性を生産者の人々に理解してもらうために現地でワークショップを開催するなど、生産者パートナーと緊密な連携をとっています。それでも、期待通りの製品ができあがらないこともあります。

しかし、フェアトレードで何よりも大切なのは、生産者と継続的なパートナーシップを築き、長期的に発展を支援することです。通常の貿易のように、最も低いコストで原料を調達して最も人件費の低い国で生産するという利益第一の考え方とは逆に、最も必要な人々に仕事の機会を提供して地域の発展を促すことこそ、フェアトレードの第一の目的です。そのため、FTCoは生産者の能力向上を支援し、魅力的な商品を開発してパートナーに毎年商品の発注を続けるよう努めています。

◆フェアトレード推進のための情報発信

FTCoは世界のフェアトレード団体のネットワークであるIFAT(国際フェアトレード連盟)のメンバーですが、IFATで定めるフェアトレードの9つの基準には、生産者の支援や環境への配慮などに加えて「フェアトレードの推進」が謳われています。つまり、フェアトレードが貧困の解消に有効な手段であることを消費者や一般企業、行政などに幅広く伝え、フェアトレード商品の購入を促すことが求められるのです。FTCoと母体組織であるグローバル・ヴィレッジは、貧困を生む現在の経済構造の問題点や環境破壊の実態などについて情報発信したり、毎年5月に世界のIFATメンバー組織が連携して行う「世界フェアトレード・デー」のイベントを企画して、フェアトレードをもっと日本に広め、根付かせようと努力しています。簡単なことではありませんが、環境や貧困問題に対する意識の高まりや、CSR(企業の社会的責任)の普及に伴い、フェアトレードは今後その重要性を高めてゆくことは間違いありません。その中で、今後も生産者の支援と消費者への魅力的な商品の提供、さまざまな啓発活動を通じて、フェアトレード普及の一翼を担っていきたいと考えています。

次号へつづく