
ネパリ・バザーロ副代表 丑久保完二
◆はじめに
ネパリ・バザーロは、IFAT(国際フェアトレード連盟)登録フェアトレード団体で、有限会社組織で運営しています。ネパールの女性の自立と子どもの育成支援を目指す市民団体ベルダレルネーヨとともに、貧困改善というこの世界の難題に挑戦しています。現地での仕事創り、製品の質の向上を行い、輸入・卸・販売などを通じて小さな生産者と顔の見える関係で相互信頼をしながら継続的に貿易の実務を行っています。その主な活動対象国はネパールです。頻繁に現地に赴き、生産者の状況やその生活地域の調査、現地に合った製品の企画開発をしています。生活の向上につながるように、コミュニティの研究をするなど、様々な試みもしながら、女性の社会的地位向上、農村部を含む収入向上を図ります。ボランティアも様々な立場で関わり、ネパリ・バザーロの活動の幅と可能性を広げています。主な製品は、服や雑貨などのハンディクラフト、コーヒー、紅茶、スパイス、植物染料ヘナ等です。日本がネパールから輸入している中の約5%を担っています。
◆誰も相手にしなかったコーヒーを継続
ネパールでも生活が厳しいといわれる西側の地域で、その収入向上策として注目されているものにコーヒーがあります。コーヒーは、1994年からかかわり、西ネパールの奥地からカトマンズへ運び、航空便で日本に到着します。町でも、コーヒー豆の良品不良品の選別作業の仕事を通じて、厳しい生活を余儀なくされている女性たちの仕事創りに役立っています。ネパール政府が最近発表した植物検疫対象品目の中では1番取引量が多いのがコーヒーで、そのほぼ全量を私達が担っています。有機証明の活動でも、ネパールでは一番初めに取り組み、オーストラリアから試験官を招き、村まで同行したのが6年前です。反政府勢力との対立により治安が悪化する中で、今まで構築して来た集荷、皮むき、流通のシステムが村人の拠り所になっています。
生産量も増えて安定して来た昨今、他の国から取引の話も出てきています。他の市場がみつかれば、私達はより必要としている人々に活動の重点を移す予定です。これまでの成果が認められ、昨年、世界生協デーで、ネパール全国生活協同組合連盟NCFより表彰を受けました。
この活動の一番大きな貢献は、遠隔地の自然農法を守り育てるきっかけになったことです。国際レベルの有機証明取得も最終段階に進み、村人たちの生産意欲も向上しています。
◆山の中に広がる紅茶農園とフェアトレードの世界
紅茶は主に東ネパールの山々に広がって栽培されています。8,000?級の山々が連なるヒマラヤ山脈、そのエベレストの麓で、小規模農民を中心にした共同組合組織の農園で栽培する紅茶を扱っています。紅茶だけでなく、コーヒー、カルダモン、シナモン、ジンジャー、ベイリーフも栽培しています。
ここは、山の斜面が険しく不毛であった土地を活用して紅茶農園を作り、その地域の人々の収入向上に貢献しています。また、紅茶の木で地滑りを未然に防いでもいます。それを可能にしたのが有機農業の実践です。
この農園の紅茶は、オーストラリアの有機農業証明機関NASAAから認可を受けています。また、FLOの認定を2000年11月に受けています。ここで採取できるスパイスもJAS認定を受けましたが、商品化するまでは多くの困難がありました。軍と反政府勢力が対立している現地では、スパイス採取に森に入るにも誤って撃たれてしまう恐れがあったからです。それを乗り越え、時間をかけて商品化に辿りつきました。
厳しい生活を余儀なくされる周辺の地域から農園を頼って来たばかりの人々の生活は大変で、子どもたちが学校へ行けない状況も散見されました。そこで、福祉プログラムとして奨学金を出しています。それまで学校へ行けなかった164人の子ども達が通学できるようになりました。全ての子どもたちが学校へ行ける制度は同じ地域でやはり農園を経営する人々から注目され、反政府勢力の人々からも歓迎され、妨害を受けたり危険な目に合わず、状況の安定化につながっています。
◆お買い物で国際協力
貧困を解決する即効薬はありません。小さな地道な努力の積み重ねがとても大切です。スロー(ゆっくりと)、スモール(小さいことをこつこつと)、サステイナブル(持続的に)が課題を解決するキーワード。それには、良きリーダーシップと協力が大切です。
遠隔地では農産物中心に、都市部で厳しい状況にある女性たちは染めや織り、縫製などの手仕事を中心に、生活向上を図っています。
これらフェアトレード商品を扱っているお店は小さいところが多く、まだまだその絶対数も少ないのが現状です。インターネットなどで検索してみれば、意外と近くにそのお店があるかもしれません。是非、足を運んでみてください。きっと温もりのある魅力的な商品がたくさんあることに気付かれるに違いありません。また、一人あたりのフェアトレード製品購入額が一番のスイスとはいかなくても、消費者の意識が世界を創っていることを実感して下さい。主役は、皆さん一人一人なのです。