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特定非営利活動法人全日本健康自然食品協会

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会報連載記事

フェアトレード(6) 日本のフェアトレードのこれから

拓殖大学国際開発学部教授 長坂寿久

フェアトレードは、ヨーロッパでは普及し定着しているが、日本ではまだほとんど知られていない。フェアトレードはあくまでも生産者の自立を支援するためのものであり、それには普及のスピードに注意を要するが、それにしても日本での普及率は低すぎる。では、日本での普及のためにはどのようなことが考えられるのだろうか。

1つは自治体への普及運動である。ヨーロッパの多くの自治体では、自治体内で使用するコーヒーや紅茶などの飲み物にはフェアトレード商品が普通となっている。さらに自治体だけでなく、政府機関、公共機関でも、コーヒーなどの飲料サービスにはフェアトレード商品を意識的・自主的に使っている。

ヨーロッパの各国では、地方自治体の開発協力活動は非常に普及している。多くの自治体が開発途上国と姉妹関係や連帯関係を通じて地域の水道や公衆衛生などの公共サービスの開発プロジェクトなどに協力しており、これに地域のNGOが?がりをもって活動している。

そこで日本でも、まず自治体から、自治体内で使用するコーヒーなどの飲料はフェアトレード商品を使用する運動を行っていくことが、フェアトレードの普及の第1段階として重要であると思われる。ヨーロッパでそうであったように、自治体はフェアトレードの普及のためには、最初のターゲットとなるであろう。そして、自治体内でのフェアトレード商品の使用を通じて、職員や訪れる地域の人々や、家族がフェアトレードについて知っていくことになり、同時に市民向けの広報活動も行われていくことになる。また、自治体にはどこも概ね売店をもっているが、そうした売店でも、フェアトレードのクラフトなどが売られるようになるべきであろう。自治体で普及していくに従い、政府機関、公共機関、そして企業の社内での飲料サービスにはフェアトレード商品を優先して使う運動へと発展していくことになるだろう。

第2には、産直とフェアトレードの連結である。両者のコンセプトはつながりがあり、さらにエコ商品(有機、自然食、健康食等)のコンセプトとも連結している。産直は地域で生産したものを地域内で消費し、同時に地域外の消費者にも生産者から直接届けようとする運動である。産直によって、地域の農家が生き返り、持続可能な農業が語られ、主婦やおばあちゃんも生き生きしているケースが報じられている。生産者から消費者へ、生産者の顔が見える取引をしようとする運動であり、その点でフェアトレードと同じである。例えば、ある地域の産直運動では、バナナは生産していないが、そのバナナをある途上国のフェアトレードと?がることによって、地域の産物として取り扱っていくようにすることである。

第3には、グリーンコンシューマー運動との連結である。「緑の消費者」というグリーンコンシューマー運動は、日々の消費の中で、どちらがより環境にやさしいかという視点で選択していこうという運動である。日々の消費活動に環境の視点をいれることによって、つまり、消費者から選択者になることによって、スーパーなどの小売店や生産企業に、より環境によいものを取り扱い、生産していくよう影響力を発揮していこうとする運動である。日本ではまだこうしたグリーンコンシューマーは1%にも満たないが、7%にでもなれば、社会を変える力になるであろう。フェアトレードは、日々の消費活動が、開発途上国の自立に?がっているという運動である。この点で、フェアトレードとグリーンコンシューマーのコンセプトは連結している。

第4は、企業の社会的責任?社会責任投資(CSR/SRI)とフェアトレードとの連結である。CSR/SRIは急遽日本でも報じられるようになり、企業も関心を強めている。企業は自社がCSR/SRIに対応する企業であることを示すために、フェアトレードへの関心が急速に高まっている。企業がフェアトレード商品を扱うことによって、CSR/SRIに取り組む企業として評価されうるからである。今後、CSR/SRIの普及と共に、フェアトレードに取り組む企業が増えていく可能性は十分ありうる。これはフェアトレードの普及にはもちろん意味があるが、企業がフェアトレード商品を扱うようになることによって、フェアトレードはまた逆に問題を抱えることになる恐れはあるが、フェアトレードの普及にはCSR/SRIは追い風とはなっている。

第5は、ODA(政府開発援助)予算のうちNGOに拠出している比率は、日本は先進国中、異常に小さい国となっている。他の先進国は概ね10%前後以上であるが、日本とフランスのみが異常に少なく、1%以下である。世界の動向はODAをNGOにもっと流していこうという動きになっている。それによって、よりきめの細かい、小回りのきく、よりコミュニティのためになる、そしてより顔の見えるプロジェクトにODAが使われることを意味するからである。そこで、ODA予算を、こうしたフェアトレードNGOに提供していくことによって、フェアトレード活動の促進を支援していくことも必要であろう。とくに日本市場に適合した商品開発のために、専門家による技術指導を行うための専門家派遣事業などの予算化は意味があると思われる。日本の消費者は世界でも最も製品に対する感覚がうるさい消費者である。日本の消費者に適合した商品の開発は、生産国の商品開発力や生産技術の向上をもたらすものとなり、日本のみでなく、他の先進国でも適合できることを意味するであろう。日本では取り組むべきことはいくらでもある。

次号へつづく