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会報連載記事

フェアトレード(4) フェアトレードの国際的連携 IFATについて

拓殖大学国際開発学部教授 長坂寿久

フェアトレードは、各々のNGOが独自の思いで取り組んでいる。開発途上国の生産者との関係のあり方を重視している点がフェアトレードの原点ではあるが、その関係のあり方、取組み方、方向性は各々のNGOによって異なる。どのNGOも一生懸命苦労してやってきた経験の中から独自性を生み出している。

しかし、同時に、フェアトレードは市場(消費者)へ向けた運動でもあるため、ビジネスとしての感覚がもっとも求められる活動である。そのため、理念を守るが故に経営に破綻をきたしたり、ビジネスを重視するが故に現地生産者との関係に齟齬をきたすケースもみられるようになる。生産者の自立のためには、ビジネスとして成り立つようにすることであるが、量が増えれば景気の動向の影響を一層強く受け、継続性が問題となる。継続性を重視すれば、取扱量の増大は危険ですらある。売れる量以上に拡大しない方がいい、会員を対象とした小さなショップでの販売を中心として、徐々に拡大していけばいいという考えになる。

しかし、一人でも多くの消費者がフェアトレードの理念をもって買い物をしてもらえるようになるためには、日常のスーパーマーケットの棚にもフェアトレード商品を置きたいと考えるようになる。これが前回のマックス・ハーフェラールの考え方である。フェアトレードは、より公正な「もう一つの貿易」(オルタナティブ・トレード)を目指す運動であるから、従来とは異なる新しい事業のあり方の創造を目指す運動である。従ってより公正であれば、さまざまな形態の事業が生み出されていいのである。

例えば、フェアトレードの理念を、環境面で追求していくと、それは日本では「地産地消」の考えにたどりつくであろう。地域で生産したものを地域で消費すれば、移送エネルギーが小さく、ハウス栽培よりも路地栽培による栽培エネルギーが少ないなど、環境負荷ができるだけ小さく、旬のおいしい、しかも安全なものを食べることができる。そこで、「フェアトレード」と、この「グリーンコンシューマー」の理念を結びつけた、「コミュニティ・トレード」という言葉を使っている団体もある(第3世界ショップの「地球食」など)。

こうした考え方の広がりによる理念の多様化は、運動の広がりとし一向にかまわないが、しかし、フェアトレードという言葉が知られるようになると、理念に関係なく、途上国産品を売るマーケティングと用語して勝手にこの言葉を使っているケースも出てくるであろうし、ビジネスの方に重点を置き過ぎて理念を忘れがちになりかねないケースもありえよう。また、消費者の信頼をうるためには、「フェアトレード」の定義を明らかにし、評価する仕組みも必要になる。

そこで、国際的にフェアトレードの定義を明確にし、評価する仕組みとして、前回紹介したFLO(国際フェアトレードラベル機構、1987年設立)やIFAT(国際オルタナティブ・トレード連盟)が結成されている。今回はIFATについて少し紹介しておこう。

IFATは、1989年に先進国のフェアトレード団体と途上国の生産者とを橋渡しをする国際NGO組織として設立され、現在では55カ国、200団体以上が加盟している。IFATは、(1)公正な取引、(2)透明性、(3)倫理性、(4)労働条件、(5)雇用機会の平等、(6)人々への配慮、(7)環境への配慮、(8)文化的背景の尊重、(9)教育と啓蒙、の9点をフェアトレードの定義としており、さらに、「行動規範」として9項目、「協力関係のあり方」として4項目、「加盟団体がお互いの活動を評価するモニタリングシステム」として3項目の基準を設定している。行動規範の9項目とは、(1)経済的に厳しい立場にいる生産者の生活向上、(2)透明性の明確さ(説明責任)、(3)資質の向上、(4)フェアトレードの推進、(5)公正価格での支払い、(6)女性の地位向上、(7)労働条件への配慮、(8)児童労働の禁止、(9)環境への配慮、である。

IFATに加盟している日本の団体(NGO)は、グローバリビレッジ(フェアトレード・カンパニー)、ネパリ・バザーロ、ぐらするーつ、の3団体だけである。FLOのラベルを使用しているのは、日本の場合は焙煎企業が中心で、FLO商品を販売しているNGOはまだ少なく、しかも現時点ではラベルを付けて販売しているフェアトレード団体は不思議なことにまだない。企業がフェアトレード商品を売る場合は、その商品が本当のフェアトレード商品であることを消費者に認識してもらうためにはラベルの取得がもっとも有効であるからであろう。他方、NGOにとっては、実際に苦労して手さぐりで現地生産者との関係に努力しており、その自信からFLOラベルの取得の必要性をあまり感じないのかもしれない。

日本では、フェアトレードは少しずつ普及はしてきたが、こうした国際組織との連携で活動しているNGOはまだ少ない。むしろ、これら国際組織の基準に厳しいところがあるため(例えば、前払い基準など)、あるいは会費や登録料を支払う余裕が十分ないため加入をためらっているNGOも多いとみられる。この点で、日本のNGOは依然成長の初期段階にあるといえるのであろう。

ところで、前回紹介したFLOの「フェアトレード・ラベル」の国際的な統一は、日本のFLOは今年2月から移管し、これにともない組織名をこれまでの「トランスフェア・ジャパン」から「フェアトレード・ラベル・ジャパン」に変更しています。

次号へつづく