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特定非営利活動法人全日本健康自然食品協会

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会報連載記事

フェアトレード(3)
 マックス・ハーフェラールの新マーケティングフェアトレードラベル運動

拓殖大学国際開発学部教授 長坂寿久

オランダのスーパーマーケットに行ってコーヒーの棚を見ると、コーヒー袋を背負ったおじさんの絵に「マックス・ハーフェラール」と書いたシールを貼ったコーヒーを売っている。1988年にオランダで始まったフェアトレードの新しいマーケティングが、その後のフェアトレードの世界を大きく進展させることになった。

開発途上国の人々が作る衣料品や雑貨などの産品を公正価格で仕入れ、先進国で売るフェアトレードの国際的な小売り展開組織(NGO)として「第三世界ショップ」などがよく知られている。しかし、このやり方では、特定の少数の店で売っているに過ぎないことになり、消費者へのアクセスとしては極めて限定されたものとなっている。あらゆるスーパーや街角の小売店でフェアトレード商品を購入できるようにするにはどうしたらいいのか、と問いかけたのである。

さらに次のような課題も解決したいと考えた。慈善(チャリティ)としてではなく、対等の交流をベースに、例えばコーヒーであれば、コーヒーの貿易業者、コーヒーメーカー(焙煎業者)、卸売業者、スーパーチェーン等関係業者、消費者がそれぞれの利益の中で重要な役割を果たしつつ、長期的な関係を結んでいくようなモデルを考えることはできないか。従来の偏見をなくし、「小規模農家が栽培するコーヒーはすばらしいコーヒー」であり、「小規模農家は貿易パートナーとしても高い信頼性がある」という、「品質と信頼性」の点でも「フェアトレード」のイメージを確立するにはどうしたらよいか。

そこでマックス・ハーフェラール財団が考え出したのが、コーヒーメーカーに対し一定のフェアトレード条件を設定し、その条件に合致していれば「マックス・ハーフェラール・シール」をその製品に貼って販売する許可を与えるブランド名の「ライセンス制」であった。焙煎業者こそが、品質の高い消費者の好むコーヒーをブレンドできるノーハウをもっているという認識によるものであった。

ライセンス条件は、家族経営の「小規模農家の自治組織」から購入する。農業経営の統合をできるだけ追求し、モノカルチャーを避け、環境的にも健全な生産技術に努力し、経済的多様化に努め、現金作物としてコーヒーに過度に依存しないように努力していること。いかなる政治的、人種的、宗教的、性的差別を行わず、民主的に運営されていること。指示された公正な価格で購入すること。生産者に対し契約価額の60%までの国際通常金利によるクレジットを提供すること。メーカーと生産者は長期契約ベースによる信頼性と継続的関係を作り上げること、等々のフェアトレード条件である。

このフェアトレード条件に基づき開発されたマークス・ハーフェラールのラベルのついたコーヒーが、3年の間にオランダの多くのスーパーの棚に置かれるようになっていった。焙煎業者のみならず、フェアトレードNGOも自らのコーヒーにラベルを貼り、スーパーなどに卸せるようになった。そして、消費者もそれを特別の意味あるブランドとして認識し、それを選択する人々も増えていき、普及していった。

オランダでの成功を踏まえ、まず1992年にドイツにトランスフェア・ラベルという名前で波及し、この運動と考え方は他のヨーロッパ諸国をはじめ、世界に広まっていった。と同時に、買いつけ先の小規模農家のコーヒー生産者組織の数も対象国も増えていき、開発途上国においても、フェアトレード方式の意義が見直されることになった。

そして、1997年には、世界各国にあるフェアトレードラベル運動組織がひとつにまとまり、FLO(国際フェアトレードラベル機構)という国際ネットワーク組織が設立された。現在の加盟国は、ヨーロッパはほぼ全域、米国、カナダ、日本の計17カ国と、中南米、アフリカ、アジアの計29カ国、350の生産組合が登録している。

これまでは、いくつかの国ではラベル名はマックス・ハーフェラールであり、ドイツではトランスフェア、他の国ではフェアトレード・ファウンデーションなど、次第に多様になっていった。しかし、各国組織とも、やはり消費者に分かり易く、国境を超えた貿易を可能にする、すべての国で通用する統一されたラベルが必要であると思い続けてきた。

そこで、ついに2003年4月からFLOは一つの国際的な承認マークへ統一するラベルを完成させ、各国はそれを承認した。各国はそれぞれの事情に応じて、2007年までに、既存のラベルから、この新ラベルへ置き換えていくこになった。

日本のFLOに参加しているフェアトレードラベル団体は、ドイツ系の「トランスフェアジャパン」である。トランスフェアのラベルから、今後2007年までに、世界共通の新しい「フェアトレードラベル」に移行していくことになる。

次号へつづく