
日本ブルーベリー協会 副会長(元千葉県農業大学校研究学科主幹) 玉田 孝人
◆ 11月の気象
11月の気温は上旬と下旬とで、また、地方(地域)によって大きくちがいます。たとえば、1〜5日の平均気温は、東京では15.3℃、25〜30日には10.7℃です。その時期、札幌では7.5℃と2.0℃であり、冬といってもよい気温です。
当然、ブルーベリー樹の生育状況は、月の初めと終わりの頃とは、また、地域によって相違がみられます。
一般に、11月から翌年の3月までの5ヵ月間は、果樹園芸では、休眠期といいます。これは、4月から10月までの枝や葉が旺盛に伸長した生長期に対する用語です。
◆ 11月の樹
(1) 冬を迎える準備
北海道や東北北部では、秋とともに冬は早く訪れます。11月初旬でも、これらの地方では完全に落葉していると思われます。落葉は、やがて来る冬季の厳しい低温から身(枝や芽)を守るための準備です。すなわち、ブルーベリー樹は休眠期に入ったのです。
関東南部では、紅葉は例年よりも遅く、本格的にはこれからです。冬季の到来が遅い四国や九州南部では、未だ緑葉が着いているでしょう。そのため、休眠期に入るのも遅くなります。
(2) 花芽の肥大
本年伸長した枝の上部で、葉腋に着いている小さくて丸い形をしたブルーベリーの花芽は、休眠期間中でも、少しずつ、丸みを増しています。
この花芽が、翌年の春に花を咲かせ、夏に果実を着けるためには、冬の期間中に、低温条件(7.2〜1.0℃の低温)に、400〜1,200時間遭遇する必要があります。これを低温要求性といいます。
要求時間の多少は品種によって異なり、栽培できる地域が決定されます。冬季の低温が厳しい地域では低温要求時間が多い品種が、冬季が温暖な地域では要求時間の少ない品種が栽培に適しています。
(3) 根の活動は低下
根が水分や肥料分を吸収する活動は、葉の蒸散作用と地温(根が分布している地中の温度)に左右されます。春から秋まで、新梢が盛んに伸長している時期には、根の活動も盛んです。
しかし、秋になって気温が低下し、やがて落葉すると、根の活動は衰え、養水分の吸収力は極度に劣ります。そのため、灌水の必要性は少なくなります。
(4)樹の低温障害
ブルーベリーの栽培地帯の北限は、冬季の低温の程度によります。一般的に、北海道や東北北部で栽培できる品種は、厳寒期の気温がマイナス20℃くらいまでは大丈夫です。低温がさらに厳しい地域では、ブルーベリーの枝や花芽は低温障害を受けます。
地温(ブルーベリーの根が分布する深さの地中温度)もブルーベリー樹の生育を左右します。地面が凍る程度の地温では、根に障害はありません。また、冬季の間、30〜50p以上も積雪がある地域では、雪の被覆効果によって根の障害はほとんどみられません。しかし、厳冬期の地温がマイナス10℃以下になるような所では障害がでると思われます。そのような所では、ブルーベリー樹の周囲(半径50p)を厚さ15pくらいに有機物マルチをして障害を防ぎます(少なくする)。
◆ 11月の作業
(1)灌水
北海道や東北南部では、庭植えの場合、灌水の必要はなく(できない)、鉢植えで戸外に置く場合には鉢を土中に埋めておきます。
雪のない地域では、庭植え樹の場合、雨のない日が2〜3週間続いたらタップリと灌水しておきます。鉢植えでは、2週間に1回くらいの灌水でよいでしょう。
(2)冬がこい
積雪が多い地域では、庭植え樹の場合、強いパイプを立て、株全体を丸めて支柱に結束する冬がこい" をしておきます。そうすることで、枝の雪折れを防ぐことができます。鉢植えでは、春まで積雪が少ない場所に移しておきましょう。
(3)新品種導入の検討
この時期の楽しみに、翌年の春に植え付けたい品種をカタログから見つけ出すことがあります。ブルーベリーは品種数が多く、また、新品種が毎年のように発表されているため、なおのことです。
北海道や東北北部のように、冬季が厳しい低温および積雪量が多い地域では、耐寒性(冬の低温に耐えられる性質)が強く、樹高が低い(雪に隠れるような樹高)品種を選ぶべきです。一方、九州南部のように冬季が温暖な地方では低温要求量の少ない品種を選定します。
関東南部では、ほとんどのブルーベリー品種を栽培できます。果実の大きさ、風味にこだわりましょう。