
日本ブルーベリー協会 副会長(元千葉県農業大学校研究学科主幹) 玉田 孝人
◆ 10月の気象
10月の気温は、9月と同様に月の前半と後半とで大きくちがいます。前半は時々暑い日がありますが、後半には気温はしだいしだいに低くなり、いわゆる、秋が深まってきます。
南北に長い日本列島では、秋の訪れは北の地方からやってきます。10月中旬には、北海道ではブルーベリーの紅葉が始まります。紅葉前線は、およそ1ヵ月かかって南下し、暖地における紅葉は11月中旬ころになります。
◆ 10月の樹
(1) 強風の害
9月、本年もまた台風による被害は各地にみられ、多くの尊い人命が失われたニュースには心が痛みました。台風は、また、農作物にも被害をもたらしました。皆さんの地域ではどうだったのでしょう。
ブルーベリーでは、台風(強風)によって枝が折損したり、落葉が多くみられました。枝折れがあった樹では、生存している枝の芽の上部から剪定し、傷口を滑らかな断面にしておくとよいでしょう。落葉が多かった樹では、花が秋に咲く“狂い咲き”がおきているかも知れません。そのような樹には、特別な対策はありません。花は咲いても結実しませんが、翌年の開花数は少なくなります。
(2)紅葉
上述したように、10月は紅葉のシーズンです。紅葉の色具合は品種によって、真紅から黄色まで様々です。
紅葉は、普通、高地や冷涼地のように昼夜の温度差が大きい地方(所)が美しいといわれています。しかし、ブルーベリーは、温度差が小さい平地(標高が低いところ)でも美しく紅葉します。すなわち、ブルーベリーは全国どこでも、庭植えでも鉢植えでも、鮮やかに紅葉します。
紅葉は、迫りくる低温の厳しい冬季に対する落葉準備に入ったあかしです。気温(低温)の変化によって葉柄の部分に離層が発達するため、葉中に糖類が蓄積されてアントシアニン色素(一般的に赤みが強い)が形成され、また、葉緑体が分解して緑色が消えるからです。
花芽の肥大
庭植えのブルーベリー樹を観察してみてください。春に伸びた枝(春枝)、夏に伸びた枝(夏枝)の先端部から数節下まで、葉腋(葉の付け根)に丸くて小さい芽が出ています。これが、翌年の春に花を咲かせ、夏には果実を着ける花芽です。花芽は、10月にはずいぶん大きくなっています。小さくて尖った芽は、翌春、枝になる葉芽です。花芽は、落葉した冬季の間も生育を続けています。
◆ 10月の作業
(1) 灌水
春から夏までの生長期間中ほどの頻度ではありませんが、灌水が必要です。
庭植えでは、2週間ごとに(1樹に20〜30リットル)、鉢植えでは3〜5日間隔で、タップリと灌水します。前述したように紅葉し、また、落葉してからでも、花芽は生育していますから十分な土壌水分が必要です。
(2) 除草
年間をとおして、ブルーベリー樹の周囲に雑草を生やすことは禁物です。成木(普通には、植え付け6年以降)では、株もとから半径50〜60cmの範囲内には雑草を生やさず、鉢栽培では雑草があってはいけません。それは、ブルーベリー樹はひげ根のため、根の伸長力、根による水分の吸収が雑草に負けてしまうからです。
苗木の植え付け後、3〜4年経ってもブルーベリー樹が大きくならない理由は、一番は、土が硬くて排水が不良であり、土壌?が高いなど、土壌改良が不十分であったからです。そして二番目には、水不足および雑草の繁茂によるものです。雑草があってもブルーベリー樹が直ぐに枯れるというようなことはありません。しかし、生長は明らかに劣ります。樹が枯れないで生きていることと、健全に育ち、花を咲かせ、おいしい果実を収穫できることとは意味がちがいます。庭植えでも、鉢植えでも、ブルーベリー樹を育てているのです。秋になって落葉すると、また、冬季にはそのような事を忘れがちになります。