
日本ブルーベリー協会 副会長(元千葉県農業大学校研究学科主幹) 玉田 孝人
4月は開花、結実の季節です。南北に長い日本列島では、開花は九州地方から始まり(3月下旬)、1ヶ月以上かけて北上して北海道中部では5月下旬に終わります。関東南部における開花は、いずれの品種でも(1樹でも)4月上旬に始まって3〜4週間続きます。そのため、長期間にわたって花の美しさを観賞できます。
風味があっておいしく、安全で健康によいブルーベリー果実の生産(収穫)は、開花期間中における受粉および結実の状況の良否にかかっています。
◆4月の樹
花芽は形態的には萌芽→開花→落花→幼果へと大きく変化します。それとともに、生理的には受粉→受精→結実と生殖生長が連続して進行しています。
■花
花の形態
3月中旬以降、花芽は旬ごとの気温の上昇に刺激されて長い休眠から開放され、しだいに膨らみ始めます。それまで一つに見えていた芽の中で、小花の姿がハッキリとしてきます(写真1)。
小花にはいくつかの形態がありますが、多くは球形、倒置型の鐘型、つぼ型、管状形をしています。花弁は結合して花冠となり、4〜5つの切れ込みがあります。花冠の色は多くは白かピンクですが、品種によっては赤が縦に入った模様のものなどもあります(写真2)。
開花には順序があり、1本の枝では先端部のものが基部に近いものよりも先に、花房では基部の小花が先端のものよりも先に開花します(写真3)。小花は約1週間開花しています。
2) 花の内部では
小花の内部では、胚珠(雌ずい)と花粉粒(雄ずい)が充実して受精が完全に行われる準備が進んでいます(写真4)。
受粉した花では、柱頭に付いた花粉が発芽し、花粉管を出して(雄核と極核を持つ)花柱をとおり、子房に入ります。さらに進入して胚珠に達し、雌核と合体(重複受精)します。
3) 開花が終わった花
開花が終わった花はやがて萎れてきますが、萎れかたで受精の良否が分かります。受精しなかった場合には、花冠が茶褐色になったまま花房にくっついています。一方、受精した小花では、花冠は花柱とともに落下して幼果の形をみせています。
4) 結実
受精が成立し、果実として生長できるようになった状況が結実です。すなわち、開花→受粉→受精と子房内の生理的作用が順調に進んで結実するわけです。
それ以降、果実(種子と果肉の肥大)の生長(肥大)が始まり、成熟期の6月上旬から(極早生種)から8月下旬(極晩生種)まで続きます(品種によって異なる)。
■葉(枝)
ブルーベリーでは(品種によって例外もあるが)、葉芽は花芽よりも遅れて伸長します。葉芽(枝)は、開花初期には葉身を巻いて尖った状態から先端に小さい葉を1〜2枚出した状態です。4月中〜下旬になり、開花盛りを過ぎるころには、葉を付けた枝として長さ5pくらいに伸張してきます(春枝、1次伸長枝)。その後、春枝は6月下旬ころまで旺盛な伸長を続けます。
春葉が光合成活動を行って果実の成長を促進しますから、枝の出方(本数、長さ、葉数など)が果実の大きさ、おいしさ(品質)を左右します。
■根(地下部)
根は樹の生長に必要な水分、養分を確保するために年間をとおして活動していますが、活動が盛んな時期は春と秋の2回です。いずれも、地温(土中20〜30pの深さの所)が14〜18℃前後のころ(所)です。
関東南部では4月中下旬ころから根の伸長が盛んになり始めます。
◆4月の作業
関東南部以南の地方では、開花期間中の管理となります。一方、東北北部や北海道では、4月中旬までは剪定の時期となるでしょう。
1.乾燥に注意
毎月のことですが、定期的に灌水する必要があります。3〜5日間隔で、午前中、庭植えでは30〜50?、鉢植えでは鉢の上から溢れるくらい灌水します。
2.風除け?昆虫の飛来を助けるために
ブルーベリー栽培では同一園(庭)に異なる品種を植え付ける(別の品種の鉢を置く)、混植が基本です。これは自家受粉を避け(同一品種による受粉)、他家受粉(別の品種の花粉がかかること)を促すためです。どのような品種を選んでも問題はありません。
受粉は、ほとんどの場合、自然のミツバチや花アブなどによって行われています。とくに、ミツバチの巣箱を準備する必要はありません。
ミツバチは日溜まりを好み、強い風では飛来が困難です。庭植えの場合には樹の周囲に風除けをつくり、ポット植えの場合には日溜まりのよい所に移動して育てましょう。
3.晩霜害を避ける
開花期間中、場所によっては晩霜があります。花(雄ずい、雌ずい)や幼果は晩霜(低温)害を受けやすく(−1〜2℃でも害がある)、果実の成りが悪くなります。寒冷しゃ、使い古したシーツなどを樹上に被せるだけで防ぐことができます。大事に育てた樹でせっかく咲いた花、結実した幼果を晩霜でダメにしたくないものです。