正しい食生活・健康・自然食品・伝統食品・食育・食養・ナチュラル・オーガニック他情報を提供します。

特定非営利活動法人全日本健康自然食品協会

特定非営利活動法人 全日本健康自然食品協会

リンク | サイトマップ

 HOME > これまでの会報 > 会報連載記事 > ブルーベリーの恵みvol.4

会報連載記事

ブルーベリーの恵みvol.4

日本ブルーベリー協会 副会長(元千葉県農業大学校研究学科主幹) 玉田 孝人

◆旬のブルーベリー

1.おいしいブルーベリー果実を選ぶには

前章では、ブルーベリーは北アメリカ原産であり、20世紀生まれの果樹であること、およびアメリカ人にとって「命の恩人」といわれる歴史的な果実であることを紹介しました。

ブルーベリーは今が(6〜8月)旬です。この章では、ブルーベリーの特徴的な形態―樹、葉、花および果実―などについて紹介する予定でしたが、順序を変更して、果実の生長と成熟、そしておいしい果実の見分け方について概説します(専門用語が多くなりました)。

店頭に並んだブルーベリー果実を買い求める場合、あるいは摘み取り園に出かけた場合に、おいしい果実を間違いなく選ぶ際の参考にしてください。ブルーベリーの場合、「大きくて青色の濃い果実」は、おいしいうえに、栄養成分および健康機能性もたっぷりなのです。

(1) 果実が着く枝
ブルーベリーの新しょう伸長は、関東南部では、例年、4月上旬から始まり6月下旬〜7月上旬まで続きます。翌年、果実を着ける花芽は、枝の伸長が止まって2〜3週間後の7月中下旬ころから分化します。すなわち、7〜8月の果実の成熟期に、もう一方では、翌年に果実を着ける花芽が分化しているのです。このような複雑な生理的現象は果樹の特徴です。

花芽は枝の先端とそれに次ぐ数節に着き、それよりも下の節には葉芽(枝芽)が着きます。いわゆる、果実は前年の枝の先端部に着きます。

(2) 開花および受粉
花芽は、季節が進むにしたがって肥大して丸みを帯び、一方、葉芽は長くて尖った形になります。秋(10月)には両者の区別が容易につきます。その後、翌年の2月ころまで花芽の大きさはほとんど変わりません。

3月になると芽の大きさが増大し、4月初めから開花が始まり、4月中旬に満開となります。1花房は10コ前後の小花を含みます。開花期間は品種や枝の種類によりますが、1花房で1週間、1樹では3〜4週間も続きます。

開花期間中、訪花昆虫(主として特にミツバチ)によって受粉(雌しべの柱頭に花粉が付くこと)が行われ、引き続いて胚珠内で受精(雌性配偶子と雄性配偶子とが合体)して種子が誕生します。種子が生長(肥大)しなければ果実は幼果の段階で落下してしまいます。すなわち、果実が成熟するまでには、花芽分化?花芽の発育?開花?受粉?受精?結実(幼果)?果実の肥大(種子の生長)という、生理的に複雑な過程を経ているわけです。

(3) 果実の発育
ブルーベリー果実は、一般的には、開花・結実後2〜3ヵ月を要して成熟します。この期間中、果実は形態的には二重S字形曲線(S字を延ばしたような形)を描いて生長し、生理的には果実品質の良否を左右する甘味や酸味、果色などにかかわる成分が変化して蓄積され、品種固有の風味を呈するようになります。

1)果実の形態
ブルーベリー果実は花托と子房が発達した偽果です。多くの場合、5つの萼片は成熟後まで残ります。

中に60粒前後の種子を含みます。種子は長さが1o前後ですが、品種によっては口の中で種子の存在にほとんど気づかない程の大きさです。

2)果実の形態的生長
果実は受粉後、約2〜3ヵ月間、二重S字形曲線を描いて発育し成熟します。すなわち、果実の生長は、受精後、細胞分裂による細胞数の増加により急激な発育をする第1期(幼果期)、種子(胚と胚乳)の発育期で果実肥大が緩慢な第2期(肥大停滞期)、それ以降成熟期まで続く個々の細胞の肥大期および細胞間隙の拡大期の第3期(最大肥大期)に分けられます。

果実の成熟期は、関東南部では6月上旬(早生種)から8月下旬(極晩生種)まで続きます。一品種でも、成熟期が3週間にもわたります。(図1)

3)着色ステージの区分
第3期の長さはおよそ2週間くらいであり、この期間に果実の大きさは最大に達し、果肉は軟らかくなり、果色は着色しはじめ、やがて全体が濃い青紫色になります。

果実の着色ステージは果実の生長周期第3期とほぼ一致しており、着色段階は次の6つに分けられます。(写真2)

{1}未熟な緑色期(果実全体が暗緑色、Ig)
{2}成熟過程の緑色期(果実全体が明緑期、Mg)
{3}グリーンピンク期(果皮が全体的に明緑色であるが、萼の先端がいくぶんピンク色、Gp)
{4}ブルーピンク期(果皮は全体的にブルーであるが、果軸の先端がいくぶんピンク色を呈している、Bp)
{5}ブルー期(果皮全体がブルーであるが、果柄痕(スカー)の周囲にわずかにピンク色が残る、Bl)
{6}成熟期(果皮全体がブルーになった段階、Rp)このような区分は、成熟期の判定のために非常に重要であり参考になります。

4)果実の発育と成分の変化
ブルーベリーはクライマクテリックタイプ(果実は呼吸していますが、その呼吸速度が成熟に達したころに上昇する)であり、成熟直前にエチレン(果実の成熟ホルモンとも呼ばれ、成熟と最も深く関係している)の排出量と呼吸量の一時上昇が認められます。(図1)
果実の全糖含量は果実肥大に伴い増加し、呼吸のクライマクテリックライズの前後から急激に増加します。一方、全酸含量は第1期から第2期にかけてだんだんに増加し、3期のエチレン排出期またはクライマクテリックライズの前後の時期から減少します。これはブルーベリー果実の生理的な大きな特徴です。すなわち、ブルーベリーでは果実の発育周期第3期に達してから果実の大きさとともに糖含量、アントシアニン色素が急激に増加し、逆に、酸含量が低下しているのです。(表1)

以上のことからお分かりのように、おいしい(甘味があり、糖と酸が調和して風味がよい)ブルーベリー果実は、同一品種では、大きくて、果皮全体が濃い青紫色に着色しているものです。この夏、目の前のブルーベリーは、遠慮せず大きいものから食べましょう。

次の章では、観賞的な視点から花や葉の形態的特徴について紹介します。

次号へつづく