
日本ブルーベリー協会 副会長(元千葉県農業大学校研究学科主幹) 玉田 孝人
1.“食べる楽しみ”と“育てる楽しみ”
今日でもなお、ブルーベリー果実は高い人気を博しています。どうしてでしょうか。それは、「ブルーベリーの持つ爽やかな風味、特徴的な保健成分とすぐれた健康機能性による」と迷わずに答えられます。
このようなブルーベリー果実の特徴は、現代人の健康性および安全性志向、さらには自然性志向とよく合致しています。それは、この数年間における生果の消費量、およびジャムやジュース、ワインなどの各種加工品の利用の著しい増加をみても明らかです。
ブルーベリー果実に対する消費者の高い評価をみるとき、「ブルーベリーは健康果実」といわれるゆえんの一端を容易に理解することができます。しかし、日ごろ、健康食品や自然食品に親しみ、健全な食生活をとおして国民の健康の維持増進の諸活動に関わっている方々にとっては、ブルーベリー樹や果実の全体像を把握できる情報や機会は意外に少ないのではないかと思われます。
このたび、機関誌「全健協」の誌面をお借りしてブルーベリーの魅力について紹介させていただくことになりました。専門外のところもありますが、ブルーベリーに魅力を感じ、家庭でも上手に育てられ、花や紅葉を観賞し、そして健康果実を楽しむことができるような構成で論を進めていきたいと考えております。初回と2回目は、ブルーベリー果実を“食べる楽しみ”と樹を“育てる楽しみ”を取り上げました。
◆ 食べる楽しみ
成熟したブルーベリー果実は「小粒で、明青色を呈するアントシアニン色素、糖と酸が調和して甘酸っぱい風味、やや粘性を示すペクチン質、ほのかな香り」が特徴です。さらには、廃棄率がゼロであることも特徴の一つです。ブルーベリーは果皮を剥いたり、種を取り出したりすることなく丸ごと食べられます。
1.爽やかな風味の秘密
ブルーベリー果実の爽やかな風味は、糖と酸の種類によります。糖は主に、果糖(フルクトース)とブドー糖(グルコース)で、全糖に対して90%以上を占めています。
果糖とブドー糖の比率はほぼ一定(1.1〜1.2)です。
有機酸は、ブルーベリーのタイプによって少し異なりますが、クエン酸とコハク酸が主であり、少量のキナ酸とリンゴ酸を含みます。
2.輝く明青色の秘密
明青色に輝く果色の美しさは、アントシアニン色素によるものです。アントシアニンは、五つのアントシアニジン(デルフィニジン、シアニジン、マルビジン、ペツニジンおよびペオニジン)(図1)に3つの糖(グルコース、ガラクトースおよびアラビノース)がそれぞれ結合して15種のグロコシドからなっています。ブルーベリーは、これらの15種のアントシアニン色素を含んでいるのが大きい特徴です。(表1)
グルコシドの含有比率によって果色は微妙に変化しますから、ブルーベリーのタイプや品種によって果色に特徴があります(表2)
3.健康果実といわれる秘密
ブルーベリーは「21世紀の健康果実」といわれていますが、その秘密は果実の保健成分とアントシアニン色素にあります。
1)保健成分
各種の成分のうち、ミネラル、ビタミン類および食物繊維含量が多く含まれています(表3)。ミネラルではマンガン(0.26mg/100g中、以下同じ)、亜鉛(0.093〜0.119mg)です。
ビタミン類のうちで特徴的なのはビタミンE (1.59〜1.70mg)とビタミンC(9.0〜16.7mg)です。この二つは、別名「抗酸化ビタミン」といわれるように高い抗酸化力を持ち、各種の生活習慣病の予防に関与することが知られています。果実(生果)中の食物繊維の総量は3.30〜4.13%もあって、最も多い果実の一つです。
食物繊維は、わが国の近年における食生活の中で最も不足しているものの一つに挙げられています。
2)アントシアニン色素アントシアニン色素を含むフェノール類は、驚くべき多様な健康機能性をもっていることが明らかにされつつあります。
1.眼にいい
夜間の視覚の低下を改善、眼精疲労の回復、暗順応促進効果。
2.毛細血管の透過性とぜい弱性を調節
3.高い抗酸化作用(力)
がん、循環器系疾患および糖尿病など各種の生活習慣病の予防効果が高い抗酸化力。
4.老化の遅延(予防)
果実(エキス)を使った動物実験の結果、老化に伴って機能が低下している脳神経細胞の情報伝達、記憶機能および運動能力の回復。
5.脳血管疾患の回復
動物実験で果実(エキス)を与えた後で外科的虚血性脳卒中をおこさせたところ、神経細胞の壊死を抑制した。
◆ 生食が基本
ブルーベリー果実の食べ方は、生食が基本です。そのため、健康にすぐれた効果のある各種のミネラル類やビタミン類、食物繊維、アントシアニン色素やポリフェノール類など果実に含まれる全ての成分をそのまま摂取することができます。
また、ブルーベリー果実の利用用途が非常に広いことも特徴の一つです。今日では、ジャムやジュース、ワインなどは日常の食生活にすっかり溶け込んでいるようです。さらには、ケーキや菓子類にも使われています。