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会報連載記事

治る力・8ヶ条 (7)自らの体験からガンの自然治癒を説く

NPO法人ガンの患者学研究所代表 川竹 文夫

自助治療を選ぶ

自分の力で自分を治療する。自らの知恵と努力で自らの命を助ける。玄米菜食や自然療法の手当てなどの治療法を、私は【自助療法】と名づけ、ガンと戦う上で最も大切なものに位置づけている。

自己貢献度
言うまでもないことだが、さまざまなガンの治療法は、ガンを治すことを第一の目的としている。
だが、自助療法は、違う。それを取り入れる人間そのものを癒すことを、第一の目的としている。
といって、ガンに効果がないわけでは決してない。ガン患者というひとりの人間を癒すことによって、やがて、結果として、その人が抱えているガンを治すことがあるだけだ。

こう書くと、ずいぶん頼りなく思う人もいるかもしれない。しかし私は、いくつかの理由から、自助療法をガンの治療法の第一におしたいと思っている。なぜか・・・。
【自己貢献度】が高いから。これが、最初の理由である。

自己貢献度とは、患者が自分自身の健康に対して貢献できる度合いを表わす私の造語。
例えば・・・風邪を、医者にかからず薬にも頼らず、自分ひとりの力で治した場合、自己貢献度は100と考える。

一方、ガンの三大療法(手術、放射線、抗ガン剤)のように、患者はただ、ベッドで辛い治療に耐えているだけなら、つまり、ほとんど医者任せの場合、自己貢献度は、限りなくゼロに近いと考えるのである。
では何故私は、このようなことを問題にするのか・・・。

それは、ガン患者の多くが、深い無力感にとらわれているからである。そしてその無力感が、闘病とその後の人生に、大きな影を落としているからだ。

ガンだと告げられた瞬間・・・多くの人は、未来と過去が、同時に失われる予感に苦しみ始める。
夢、計画、希望。地位、身分、業績、家庭。築き上げてきたもののすべてが、音をたてて崩れるような・・・。

無力感から抜け出る
だが、それ以上に大きな苦痛は、心の底に巣くう、無力感である。
自らの命の危機を目のあたりにしながら、自分ではどうすることもできない。自分で自分の運命に貢献できないという虚しさに犯される。

昨日まで顔も名前も知らなかった医者という赤の他人に、運命も、人生も、すべてを預けるしか能のない自分に気づかされ、傷つく人も多いのではないだろうか。

実は、13年前の私が、まさに、そうだった。口にこそ出さないが、心はいつも、「先生だけが頼りです」と、弱々しくつぶやいていたことを、痛みと共に思い出す。

精神神経免疫学の指摘を待つまでもなく、もしあの無力感が続いていれば、それは間違いなく、免疫機能を著しく低下させ、ガンを治りにくくしていたに違いない。
その危機を救ってくれたのが、ほかならぬ自助療法だったのである。
たとえば、玄米菜食。

肉、卵、魚、牛乳、バター、チーズ、砂糖・・・それまでの大好物にいさぎよく別れを告げて2週間後、私の体は、すでに大きな変化を見せていた。

執拗に繰り返していた下痢と便秘は影をひそめ、毎朝、バナナのような便が出た。体の切れがいい。油と砂糖で馬鹿になっていた味覚がよみがえったのか、食事のたび、一つ一つの食材のおいしさに感嘆の声を上げた。

そして、自然療法の手当て。
ビワ葉の温灸を手始めに、ショウガ湿布、コンニャク湿布、温冷交互浴と取り入れていくにつれ、当たり前のように思っていた体の不調が、次々と改善されていった。

夏でも靴下を履かねば寝付けないほどの冷え性。ひどい肩こり。立ちくらみ。偏頭痛。不眠・・・これらすべてが、いつのまにか。
しかし。最も大きく変わったのは、心だった。

「あれっ。たかだか玄米や手当てで、体とはこんなにも変わるものなのか。自分で変えていけるものなのか。それなら、もしかするとガンだって・・・」

体が変わる、心が変わる
自分で治せる。こうして体質を変えていけば、免疫を上げていけば、再発もきっと防げるはずだ。そう思い始めたのである。
それならと、気功も習った。散歩、バドミントン、筋力トレーニングも加えた。
ますます体は変わっていき、自信は深まってゆく。

そして気がつけば、私は再び、自分の健康を、自分の命を、自分の人生と運命を、自らの手にしっかりと握りなおしていた。
「先生だけが、頼りです」。心の中でそう繰り返すしかなかったころの自分を、やさしく笑って振り返るまでになっていたのである。

そして今、再発などするはずがないと確信している。仮に万々一そうなったとしても、すぐに自分で治せる。私は治し方を知っているから・・・そんな確信が胸の中央に座っている。
無力感から、確信へ・・・この劇的な転換のすべては、玄米やコンニャクという、実に実に頼りないものたちから始まったのだった。

自助療法の素晴らしさは、ここにある。
最初は、ただ単に身近なものを使って体を温めてみる、玄米を?みしめる。野菜の香りを味わってみる。体を動かす・・・こんなことに過ぎなかった。

なのに、気がつくと、最も変えることが困難なはずの、心さえ、大きく変化するのだ。
私が、自助療法を、選択肢の第一番におす最大の理由はここにある。
では、何故このようなことが起こるのだろうか。
体という見えるものに働きかけただけなのに、どうして、見えない心までが、変化するのだろうか。

コインの裏表
この世は、【見えるもの】と【見えないもの】でなりたっている。そして、両者はコインの裏表のように、常に、互いに接し、通じ合い、支えあっている。

見えるものは、見えないものを理解し、見えないものに働きかけるために、この世に存在し、見えないものは、見えるものをよりよく理解し、見えないものに働きかけるためにある、という風に。

さて、たとえば、散歩をしてみる。これは、体、つまり見えるものへの働きかけにすぎない。が・・・歩けば、体調が変わる。気分もいい。いつになく前向きになる。つまりは、すでに心が変化しているわけである。

図を見てほしい。玉が3個つるされている。中央が見えるもの。つまり、体。右が見えないもの。つまり、心。そして左は、行動、である。

ここで、散歩をするとする。つまり、行動の玉を引っ張って放すのである。と、その力が、見えるものに伝わって、見えないものが大きく動く。つまり、心が変わってゆく。

自助療法によって、私の心が、知らず知らず、大きな変化を遂げていった理由がここにある。
実に単純にして、明快なのだ。
自分の体を、人に預けてしまってはいけない。自分の人生を、自分の運命を赤の他人にゆだねてしまって、いいはずがない。

ならば・・・人任せにせず、どんなに小さなことでもいい、できることからはじめてみよう。今すぐに。

講演会のQ&Aから
Q.自己貢献度の図では、免疫療法などの代替療法が、二番目になっていますが、どうしてですか。私はリンパ球を活性化する治療を受けているんですが、あまりよくないのでしょうか。

A.そんなことはありません。この図はあくまでも、貢献度という視点から比較したものであって、治療の効果を比較したものじゃありませんからね。
ただ、患者は、血液を取ってもらうだけですから、自己貢献度は低いわけです。
ですから、今受けてらっしゃる治療と平行して、玄米菜食や手当てや運動などを始めることをお勧めしますね。

Q.乳ガンの手術後、何事もなく4年過ぎています。健康食品をたくさん飲んでいるためか、体の調子はとてもいいのですが、今ひとつ自信が持てません。どうすればいいでしょうか。

A.まさに、自己貢献度の問題でしょうね。健康食品を自分で飲むという意味では、ある程度の貢献度はありますが、医者や人からすすめられて飲むだけなら、やはり貢献度は低い。体調がよくなっても、それは、健康食品がしたことですからね。

ところが、運動をしたり、手当てをしたり、ヨガや気功をしたりで、その結果よくなった場合、それはみんな自分がしたことです。自分自身がこつこつと努力を積みあげた結果です。ですから、それは即、自信につながります。誰の手柄でもない、やったのは自分ですからね。ここが、自助療法のいいところ、私がお勧めする理由です。

Q.私は手術の後、抗ガン剤をやっていますが、自助療法だけでいったほうがよかったのでしょうか。お話を聞いていて、心配になりました。

A.一般論でいえば、抗ガン剤はあまり好ましくないですよね。でも、ご自分で納得して選んだのであれば、それがベストの選択だったと思って、治療を受けてみればいいでしょうね。
ただし、それと併用して、すぐにも、玄米菜食などを始めたほうがいいです。まず副作用も軽くて済むし、術後の回復も早いです。
そして、医者任せにしなくて済む、自分自身の治癒力や努力する姿勢などに信頼が持てるようになります。その結果として、自然に抗ガン剤に頼らなくていいという自信が持てれば、最高でしょうね。

何度も言いますが、自助療法を始めると、自尊心が高まります。これは、免疫を上げることにもつながりますし、これからの人生を切り拓いていく積極的な姿勢を育てる上でも大きな意味があることです。
反対に自助療法を何もしないで、医者任せだとどうなるか・・・私の知人で、術後15年の女性がいるんですが、こんなことをつぶやいたことがあります。
「再発したら、また〇〇先生に切ってもらう。ダメだったら、ホスピスで痛みだけでも止めてもらう。ガン患者は、一生自信が持てないですね」
淋しいですよ、これじゃ。しかも彼女の楽しみは、ケーキとフランス料理。なにをか言わんやです。

よく見かける例ですが、術後10年再発なしという人でも、ガンになる以前に比べると、どこか生彩を欠いているというか、迫力がないという人がいます。
これは、医者任せにしてしまった結果、人生もあずけてしまった。そのため、自信や自尊心が傷ついた結果だと思うんです。こうならないようにしたいですよね。

ポイント
◆自己貢献度が高いほど、免疫が上がる。
◆自助療法は、自らの力によって、自らの運命を切り拓く。
◆自助療法は、心も変えてくれる。
◆医者任せでは、たとえ体は回復しても、心は癒えない。

次号へつづく