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会報連載記事

治る力・8ヶ条 (6)自らの体験からガンの自然治癒を説く

NPO法人ガンの患者学研究所代表 川竹 文夫

{6}ガンの声を聞く

憎い、怖い・・・ガンは一方的に忌み嫌われる。でも、ガンにだって聞いてほしいことがある。伝えたいことがある。もし口が利けたら何と言うか。その沈黙の声に耳を傾けてみよう。

抗議と導き
私は常々、ガンは二種類のことを伝えるために、現われてくるのだと考えている。

■ひとつは、抗議。
心と体にとって、こんな辛い生き方はやめてくれ、無理を重ねる毎日はごめんだと叫んでいる。
そして、なぜ私たちが大きくなってしまったのか、その原因に気づき、改めてくれと訴えているのだ。

■もうひとつは、導き。
もっと自分の心に素直な生き方、自然で楽な生き方、それでいて、そのまま人にも喜んでもらえる・・・そんな人生がこっちにあるよと教えてくれている。
そこに、私たちが大きくなった本当の意味があるのだと、親切に諭してくれているのだ。
だから。原因に気づき、導きに従うなら、つまり、ガンの声をしっかりと聞き届けるなら、役目を終えたガンは、きっと、満足して去っていく。
命の危機的状況から、見事に治っていく多くの人を見るにつけ、私は、ますますそう思うのである。

心は難しい?
ではまず、抗議の声に耳を傾けてみよう。
ガンが最も声高に訴えるのは、心をストレスまみれに放置してはいけないということだ。

精神神経免疫学は言う。風邪からガンに至るまで、あらゆる病気の発病と治癒に決定的な影響を及ぼすのは、心であると。
そして、希望、勇気、喜びなどのプラスの感情は免疫を上げるが、不安、恐怖、心配、悩みなど、ストレスに結びつく感情は、免疫を下げるのだと。

13年前、このことを知ったときの驚きは今も忘れない。すぐにも、ストレスをなんとかしなければ、私は再発する危険性が高いのではないかと焦った。
何しろ、あまりの多忙と緊張から、朝食の箸を持つ手が突然震え、食事を口に運べないことがあった。

さらには、幻覚も見た。真っ暗い空間にぽつんと私。と、どこからか、ガラスのようなものが落下して砕ける。私の前にも、後ろにも。そしてなぜか、それが私の夢や希望だと思えて仕方なく・・・そんな中で発病したのは前述したとおりである。
しかも、そんなストレスまみれの職場でも、やめるわけにはいかなかった。

どうすれば・・・。心理学や人生論の本を片っ端から読み、さまざまなリラックス法に試行錯誤を重ね、行き着いたのが、次のような実に実に単純な方法だった。

ストレスを分断する

図を見てほしい。ただ長く引かれた一本の線。これは、ガンに結びつきやすいストレスを表わしている。
実は、ストレスは、その種類によって、どんな病気に結びつきやすいかという大まかな傾向がある。

たとえば、心臓病に結びつきやすいストレスは、予期しないほどの強度で、いちどきに襲い掛かってくるもの。たとえば、大災害や事故、突然の解雇、瞬時に湧き起こる巨大な怒りや恐怖など。つまり、一過性あるいは短期的なものである。

一方、ガンに結びつきやすいストレスは、図の線のように、一つ一つ取り立てて目立ちはしないが、いつも途切れることなく、長く続いていく種類のものである。

たとえば、会社に顔を見るのも嫌な上司がいる。いさかいの絶えない夫婦仲。子供の出来が悪くて心配。借金がある・・・こんな、どこにでも、ごくありふれたストレスである。
逆に、ありふれたストレスが元になるからこそ、ガンになる人が多いとも言えるくらいなのだが、では、どうすればいいか。

理想はもちろん、問題を解決してストレスの元を断つこと。
が、すぐには全面解決といかない場合、とりあえずやるべきことがある。それは、分断することだ。

些細なストレスが、なぜ、ガンという重大な結果に結びつくかといえば、それは、長く続くからである。続いた結果、ストレスによるダメージが蓄積するからである。
それなら、続かないようにすればいい。つまり、右側の線のように分断すればいいのである。

100メートルを10キロの荷物を持って歩くのが不可能な人も、途中で3回、下に降ろして休んでいいとなれば、出来る。これと同じ。つまり息抜きをするのである。

嫌なことがあったら、それにいつまでも関わらない。そのことばかりを考えないで、何でもいい、別なことをしてみるのだ。
シャワー、散歩、友達に電話、好きな音楽を聴く、もちろん瞑想もいい。ともかく、心の荷物をひとまず下に降ろすのである。

では、私はどうしたか。職場でストレスを感じるたび、階段を上り下りした。鉛筆を削った。ポットで持って行ったビワ茶をゆっくり飲んだ。外にいれば、いきなり銭湯に入ったりもした。
たったこれだけでストレスはずいぶん軽減される。

そして、さらににいいことは、このわずかな息抜きで、自分を客観的に眺めてみる余裕が生まれることである。
ものすごく腹が立った。しかし、考えてみると、自分にも落ち度はある。とんでもない難題が降りかかってきた。でも、冷静に考えてみれば今すぐどうにかしなければいけないというものでもなさそうだ・・・と。

そしてさらに、この習慣が積み重なれば、人格的な成長さえ得られるようになる。
あの時はあんなに怒り、相手を恨みさえしたのに、数年後の今になってみれば、当の相手の顔や名前もおぼろげ。そもそも事の発端も思い出せなくなっている。

人格的に成長したおかげで、あれほどの問題が、今ではもはや問題ですらなくなったのだ。
息抜きをする。ただそれだけのことなのに、もし続けるなら、その効果は絶大なのである。

解釈を変える
もうひとつ対処法がある。それは、解釈を変えることである。
私たちは、嫌な出来事がそのままストレスになると思いがちである。

しかし事実は違う。同じ出来事でも、それをどう解釈するかによって、心への影響は百八十度違ってくる。
たとえば、勤め先の倒産やリストラにあったとする。確かに瞬間的にはショックかもしれない。

しかし、以前から温めていながら、失敗を恐れて踏み切れなかった夢に賭けるチャンスだと思えばどうか。ストレスどころか、新しい人生への希望となる。つまり、解釈次第なのだ。

そして素晴らしいことに、この解釈の技術は、古い過去の出来事についても、大きな効果を発揮する。
たとえば、私が幻覚を見るほどストレスを溜め込んだのは、頑張りすぎが原因だった。

ではなぜ、そこまで頑張らねばならなかったか・・子供のころのある体験が根にあった。
私は幼少のころから、兄弟五人の仲でもとりわけ体が弱く、残念なことに学業成績も最低。それが、大きなコンプレックスになっていた。

ところが中学時代の中間試験で、一度、学年で35番になった。もちろん大得意で、母に報告をした。大喜びの母の顔を期待した。が、母の反応はそっけなく、「姉ちゃんは、9番が最低だった」とだけ。
私は折に触れ、そのことを思い出しては、もっともっともっと頑張らねば、母に愛されないと思い続けてきた。

しかし、ガンになってようやく、私は解釈を変えた。あの時母は、私の能力を認め「お前ならもっと出来るはず」と、あえて誉めなかったのに違いなく、つまり母は、私を愛してくれていればこそ、そっけない態度を取ったのに違いないと。

その【正しい解釈】は、私をどんなに救ってくれただろう。もう、こんなに頑張らなくていいんだ。そう、思えた。
そしてそれだけで、外見上は同様の仕事量をこなしていても、そこから受けるストレスは、はっきりと軽減されるようになったのである。

私のガン発病は44歳。ざっと数えて30年も前の出来事でも、解釈ひとつで、現在が変わってくる。
これが、解釈の素晴らしさだ。

「100人」が聞いたもの
では次に、導きの声を聞いてみよう。

いや、ここまでくれば、今さら私がしたり顔で何かを書くよりも、手元にあるこの分厚いファイル・・・「治った百人」が寄せてくれたアンケートを紹介したい。100人は、導きの声をこう聞いている。

「ガンは幸せを感じる能力と、楽しく生きるチャンスをくれた。ありがとう」
「ガンのおかげで、生き方がすっかり楽」
「本当の自分、本当の人生を手に入れた気がする」
「ガンにならなければ、嫌な人間のままだったと思う」
「病気をして、問いの中で生き、生きる意味を知った」
「ガンは私の宝物。神様からいただいたプレゼント」
「もしガンにならなければ、つまらない人生を送っていた気がする。いまは、すべてに感謝」
「第二の人生が、夢あり希望ありの素晴らしいものになりました」
「よくぞ、ガンになってくれましたと、毎日、自分に感謝している」
「人のために役立つ人生を送れることが、一番の喜び。細胞がワクワクしてくるのを感じる」

ものごとには豊かな意味がある。それをどう聞くか、どう読むか、そのことが人生を変えるのだと・・・ファイルを繰るたびに、私は、つくづく思っている。
「100人」はガンの発する声を見事に聞いた。さて、あなたはこれから、どのように聞いていくだろうか。

【講演会のQ&Aから】
Q.解釈をどう変えても、私がガンになったという事実は変わりません。気休めに、ものは考えようだよと言われているような気がして釈然としないのですが。

A.なるほど。確かに事実は変わりませんね。でも、事実は動かしようがないからこそ、解釈を変えるんです、解釈が変われば、その事実が持っている意味が変わります。
あなたは今、ガンになったということをどう意味づけているか知りませんが、質問の様子からすると、おそらく、不幸な出来事、何かの間違いという風にでも考えているのではないでしょうか。

Q.ええ、運の悪い偶然だと思っていますね。

A.実は私も初めはそうでした。でもしばらくして、そう思っていても何も得るものはないと気づきました。
それどころか、しまった、自分の人生は失敗だったという取り返しのつかない無念の思いだけが、次々と湧いてきましたね。
で、これではいけない、それよりも、この事実から、何が得られるかという風に考えていったほうが、得だなと思いなおしたんです。
いったんそうしてみると、驚いたことに、出るわ出るわ(笑)、素晴らしい贈り物がいっぱいでした。汲めども尽きない宝の泉。それこそ、「百人」のアンケートと同じです。

神様は、私たちガン患者は、いささか頑固だけれど、目覚めれば見込みのある奴だと思って、ガンを贈ってくれたんじゃないでしょうか。
馬鹿馬鹿しいですか、こんな風に解釈するのは。

でも、ガン患者はとても恵まれていると思うんです。なぜって、死にたくない一心で、自分のために一生懸命ガンを治そうとする。で、治る。すると、まったく知らない人たちが、そのことで希望を持ったり救われたりするんですから、こんな素晴らしいことはないですよ。

人のためにしたことじゃないのに、人のためにもなっている。こんな恵まれた立場を与えてくださったのは、神様に選ばれたからだと、私はいつも喜んでいますし、誇りにも思っています。
そんなに首を傾げないでください(笑)。やがて、同じようなことを言うようになりますよ、あなたも。大丈夫です。

ポイント
◆ガンの声に耳を澄ませよう。
◆解釈が変われば、ひとつの事実が人生において持っている意味は、すっかり変わる。
◆どう解釈すれば得か、と考えてみるのも、ひとつの方法。

次号へつづく